越後屋の『学び合い』帳

東京の高校国語科教員。『学び合い』と授業とクラスと。

働き方

「努力と我慢と自己犠牲は違う」などと嘯いて、つとめて軽やかに働くことを旨としてきたつもりでした。

しかし、これまでやってきた努力の形をそのままなぞると、現在の生活においては自己犠牲になってしまいます。

特に部活に関しては、生徒に申し訳なく思う気持ちと、ここでうっかりすると野放図に自己犠牲に陥ってしまうという危機感とが、常にせめぎ合っています。

みんなの仕事

仕事を進めるにあたり、遠慮しないという構えを旨とすることにしました。
おかげで、すっかりストレスが減りました。
「これは誰の仕事だ」
「自分の仕事じゃない」
こういう発想は、職員室においては意外と多いものです。
初めからみんなの仕事だと考えていれば、遠慮なく手を出せることになります。

そういえば、前任校で体育祭の用具チーフをやった時、尊敬する全体チーフの先生に「文句を言わずに進めてくれて感動した」というお言葉をいただいたことがあります。行事は始まったら最後まで止まれないので、つべこべ言わずに対応していくしかないわけですが、そうならないケースが多いそうです。
そんな全体チーフは、本来ならばチーフなどやるはずのない非常勤教員でした。見るに見かねて手伝っているうちに、実質的なチーフになったのでした。

面談とケース会議

午後は保護者面談2件と、面談に臨むためのケース会議1件。担任の若い先生が不安そうだったので、主任の先生と3人でケース会議をやりました。前にもリンクを貼りましたが、この本は最高です。

よくわかる学級ファシリテーション・テキスト―ホワイトボードケース会議編―

よくわかる学級ファシリテーション・テキスト―ホワイトボードケース会議編―

A3用紙を前に3人並んで座り*1、本人と関係者の情報と担任の不安を書き出していきます。発散→収束→活用の順にポイントを絞り、面談で必ず話題にする事柄を共有しました。
このおかげで、面談は無事に終了。保護者の方も、教員も、一定の納得を感じた、と思います。

*1:担任の先生と主任の先生には、僕の左右の席に座ってもらいました。並びで同じものを見ることでWEを意識しています。

成功する『学び合い』はここが違う!

成功する『学び合い』はここが違う!

ファシリテーターへの道

にわかファシリテーター

短期集中講座「聞き上手になろう〜ファシリテーターへの道」初日。今年はホワイボードミーティングに挑戦*1

よくわかる学級ファシリテーション?―子どもホワイトボード・ミーティング編― (信頼ベースのクラスをつくる)

よくわかる学級ファシリテーション?―子どもホワイトボード・ミーティング編― (信頼ベースのクラスをつくる)

受講生は全員1年生。彼らは入学直後の国語の時間で、オープンクエスチョンの練習を少しだけかじっています。ほとんど忘れてたけど。

初日は「オープンクエスチョンを使いこなそう」がテーマ。ペアを作って、全員がファシリテーターを体験することができました。「高校1年生はどうだった?」というテーマの時は、どのペアもなぜかしみじみ話していました。

欠席者の関係で3人のグループがありました。ファシリテーターを3人で回していると、他のペアは1回分時間が余ってしまいます。「その間は適当におしゃべりしててね」とお願いしたところ、ちょっと声が大きくなってしまいました。そんな彼らも、ホワイトボードを使っている時は実に「しっとりと」話しています。
「何が違うのかなぁ?」と投げかけたところ、一人が

目の前のホワイトボードに書いてあると、伝わってると確信できる。声だけで伝えようとすると、伝わっているかわからないから、つい声が大きくなる。

と言ってくれました。
すばらしい気づきだと思います。可視化という言葉を紹介して、「大人の会議も同じでねぇ…」という話になりました。

残り2日。週末に内容を練ります。

*1:募集要項にも「ホワイボードミーティング®︎に基づいて質問の技を練習します」と明記しました。

考査

授業において生徒が取り組む課題が

  1. 語彙の増強
  2. 知識の確認
  3. 正確な理解
  4. 意見・解釈

と進んでいく構造になっているので、考査問題も

  1. 語彙を問う設問
  2. 知識の定着を問う設問
  3. 内容を正確に理解できているかを問う設問

という構造になります。
今回は各文章におけるそれぞれの配点(予定)も事前に掲示しました。生徒の参考になっていれば幸いです。

小説『鏡』の知識問題では、架空の生徒の会話をベースにしました。この二人は以前の考査にも登場しています。
話は逸れるけれども、二人の会話は一方がリードして一方が受け身の関係(○○博士と△△ちゃんの関係)になりがちです。ジェンダー・イクォリティも考えて、なるべく空欄や役割が偏らないようにしています。

可視化も自分たちで

担当する高1の、あるクラスの出来事です。

授業の冒頭、グループ音読と個人の黙読が終わったところで*1、クラス委員が教壇に上がりました。僕は教室後方の黒板の掲示をボンヤリと眺めていたので、クラス委員の声が急に聴こえてきて、驚いて振り向きました。

「みんな、黙読終わりましたか?
昨日も言った通り*2、このままじゃいつも同じ人とばかり話していて、広がっていかないんで、まだプリントの1枚目をやってる人は教室のこっち側、2枚目の人はこっち側に集まってください。後でクラスの意見としてまとめます。それでいいですか?」

「いいでーす」という返事*3があって、学習活動が始まりました。それまでには見られない組み合わせのペア・グループが、たくさん生まれました。つまり、自分たちで、クラスの状況を可視化していたわけです。
せっかくの試行錯誤の機会なので、僕は「余計なことだけは言うまい」と、ひたすら見ていました。

授業の終盤、今度は別の生徒が前に出てきて、意見を集約し、黒板に書き出していきました。途中で「あ、時間がない!」と慌てていたのがご愛敬で*4、その日にクラスのあちこちで発生した学びをまとめてくれました。
ここでも、僕は水を差さないことに徹しました。

授業を締めるにあたり、僕はうまく言葉を選ぶことができませんでした。上から褒めるようなことは言いたくなかったので、何と言おうか迷ってしまうのです。
結局、「立派」という言葉だけが浮かんできたので、馬鹿の一つ覚えのように2回か3回それを繰り返して終わりました*5

10年近く『学び合い』にもとづいて授業をやってきて、こういう場面に立ち会ったのは初めてです。「すごいものを見た」というのは、確かにその通りです。
しかし、「感動」はしていません。生徒を心から尊敬しますが、感動とは違う感慨です。
「よく育ったなぁ」とも思いますが、まだまだ途中なので…。彼らが今後、もっと力を伸ばしていくことはわかっています。楽しみです。

*1:授業は①グループで指定範囲を音読し、②各自で3分ほど黙読し、③それぞれのペースで課題取り組み、④最後に振り返りを書くという構成になっています。

*2:後で担任の先生に聞いたところ、前日のSHRで「国語の授業を改善しよう」と呼びかけ、クラスの合意を形成していたのだそうです。担任の先生は「私は何にもしてないんですけど」とおっしゃっていました。

*3:照れ隠しだと思われます。

*4:時間管理の意識を忘れていないのが嬉しいですね。

*5:3学期に教材として扱った文章に、鷲田清一フォロワーシップについて述べたものがあったので、それを引き合いに出したりもしました

二人三脚

当然ながら、このカテゴリの記事は、軽はずみにエピソードが書けません。今回はできる限り曖昧にして頑張ります。

高校の教員として、生徒の進捗管理をあまりにしすぎるのはどうかという気持ちがあります。しかし、それが必要だと判断される時もあります。
難しいところです。
あまり「支援」に気を取られ過ぎず、課題を共有して二人三脚で取り組んでいるくらいに考えた方がよいかもしれません。